家電メーカーよ、今すぐその時代遅れのUIから脱却せよ - キャズムを超えろ!

なぜ消費者向け製品のユーザーエクスペリエンスはよくないのか – U-Site とか.
まあ分かる.RDリモコンの腐りっぷりは世界遺産に登録できると思うし.
no title - behind the counter
常識的なことを言うと,PC的な操作の方が使いやすい,なんていう日本のTV市場における人口比からすればマイノリティな人は,どちらかといえばTVなんて捨ててPCで見ればいいのではなかろうか.もしくはWii.メニューって,「グループ化された抽象機能」モデルを十分信頼できる人じゃないと到底扱えない代物で,うちの母親みたいに,ボタンを押すたびにそれが爆発するんじゃないかと冷や冷やしている人には,大きな障壁になる(母の名誉のために言っておくが,機能モデルは,頭では理解できてると思う.生理的に受け付けないだけで).でも逆に言えば,日本人のリテラシが上がれば,いつかは投資に対する見返りが出てくることになる.しかし,本当だろうか.
ここで,製品特長としてのユーザビリティが持つ基本特性として,競合他社への参入障壁・乗り換え防止にはなるが,新規ユーザへのアピールにはならない,という点を忘れてはならない.例えばTiVoの操作感はこんな感じで,リモコンのデザインはともかく,多分wa-renさんの意図してるのはこれに近いと思う.しかし,TiVoは決してリモコンが良かったから寡占状態を築けたわけではなく,サービス型のDVR/HDRにおけるトップランナーであり続けたからだ.逆に,RDリモコンがあれほど劣悪であるにもかかわらず,いまだに特殊な地位を維持しているのは,他社がやろうともしないマニアックな機能を多数備えているからだ.もし,同機能同価格の製品が複数並んでいたならば,操作性の良い方を買うだろうが,操作性が良いからといって,欲しい機能を捨てたりはしない.アピールとしてのユーザビリティは,その程度のものだ.
しかし,参入障壁・乗り換え防止としてのユーザビリティは重要だ.少しボタンの順序を変えるとか,メニューの表示順序を変えるとか,GUI部品の色を変えるとか,キーボードの特殊キーを変えるとかするだけで,機能的にはほとんど同じであったにも関わらず,過去のWindowsはものの見事にMacへの乗り換え防止に成功した(もちろん操作性の差はその成功の数割を支えたに過ぎないであろうけれど).製品に強制的に慣らされる操作感は,多機能であればあるほど重く,別会社の製品への移行はどんどん苦痛になってくる.その差がボタンの配置レベルではなく,より洗練され統一されたユーザビリティであって,おまけにカスタマイズデータや乗り換え不能データが付けばなおさらだ.大げさな言い方をするならば,ユーザビリティの洗練度次第で,乗り換えの精神的コストは,一人暮らしの寮内引越しレベルから,言葉も分からぬまま家族ごと海外移住させられるぐらいの重さにできる.
というわけで,TVにおけるユーザビリティの進化は,もっと大きなパラダイムシフトの一部になるだろうという予感がする.例えば仮にCGM的な方向の進化がありえたとして,ユーザによる映像編集入力が必要になってきたら,そこには大きなUI上の転換が見られるだろう.そこで高度なUIを提供することは,メーカーにとって有益なはずだ.