ミームプールが決めるたった一つのこと

タイトルは釣りです。

http://ascii.jp/elem/000/000/488/488259/は、ありそうで明言されてこなかった巨大なネタだと思ったが、遺伝的アルゴリズムに言及するにもかかわらず、脳神経系との相似が念頭にあるようで、消化しきれない印象が残った。多分、池谷さんとの会談後だったからなのだろう。でも、とても刺激になった。


RTを軸とするなら、素直に考えれば、Twitter世界の仕組みは脳神経系ではなくミームプールではなかろうか。そもそもGoodbye from tweetmemeというRT数計測サイトがあるぐらいだ。
このミームプールでは、一つの発言(=模倣子型)は、元記事のように野良ミームと交叉を繰り返していくが、最も強いフレーズは最終的に、頻度の高い模倣子として一定の地位を保つことになる。多分統計的に分析すれば、対立模倣子も定義できるだろう。
Twitterミームプールはそれだけで完結したプールではなく、外の(Web)世界全体の中の一部である。ただ、手軽さのために異常に交叉頻度が高く、ログが残らないせいでプールの状態が安定せず、文字数のせいで突然変異を起こしやすい圧力が働いているだけなのだ。


しかし、Twitterの外の世界を見たときには、Web世界の動作には脳の情報処理に近いものを感じる。Googleの登場によって、混沌とした情報世界に一つの流れができた。しかし、皮膚感覚から前頭葉へ至る流れはできても、どうやって同期するか(Google世界では時は止まっている)、どうやって精度良く記号化するか(Google世界はプロセスを定義しない)という二つの問題があった。Wikipediaは後者をある程度解決したが、前者にはまるで無力だった。Twitterは双方の問題に一つの解を提示したと思う。


TwitterGoogleとBingにインデックスを提供することになって、遂にこの二つの世界が結びつき始め、一個の巨大な情報処理生物へと変身し始めたと思う。すなわち一つ一つの個体の活動が生んだミームの、ミームプールによる選別というプロセスによって、ある事件とそれに対する記号(評価、と言っても良い)が同期される。その結果が記憶され、いつでもインデックスによって引き出せるようになる。Webに経験が蓄積され、我々は、より「大人」な存在へと成長していくのだろう。
それにしても、この巨大な生き物はどこへ向かうのだろうか。一つだけ言えるのは、あらゆる生物の本能は(どのようなレイヤであれ)自己保存であるということだけだ。だからこれからも次々と処理すべき情報を無理矢理作り出すような方向へと向かうだろう。認識系の人たちは今後10年が勝負だと思うよ。分かってるとは思うけど。