二回目

ストーリー的には、ゴンドールの物語が整理できてない(というか文脈が原作と違う。アラゴルンの物語的位置づけも違う)ように感じた他は、実は、かなりきっちりまとまっていることに気付いた。ローハン主役(笑)。まあ、原作も唐突な展開多いし、むしろ誠実なのかもしれない。ピピンナズグルを刺したメリーに対抗するかのような見せ場(なのかなぁ)がない(鷲たちが来たぞ! はあったけど)のが残念。アラゴルンの物語も微妙なんだが、死者の谷の演出とガンダルフが頭を下げるシーンで補償されてるっぽい。パンフレットで脚本のフィリッパ・ボウエンが触れられているが、恐ろしく大胆な省略だ。
指輪を巡る小さな戦いと大きな戦いの連携がいい感じ。導入も含め。最後は綺麗に滅びの亀裂のシーンに収束する。
FOTRから始まる9時間に及ぶリアリティの積み重ねの末に訪れるクライマックス〜エンディングは、原作通りの「指輪物語」だ。神話というか寓話というか、とにかく神懸かったセンスが降りてくる。この繋ぎが美しく、クラシカルなカタルシス(悲劇的浄化)になっていた。


ほんの一瞬しか写らないシーンに、異常に手間暇かかってそう。海賊船とかキリス・ウンゴルの塔の中とか。一種日本人じみた献身を感じる。だが、たった一カ所でも手を抜けないのが特殊効果の宿命であれば、これが当然なのか。それにしても隙がない。ミニチュアは一応、「ミニチュア〜ミニチュア〜」と心の中で念じてると何となく分かるのだが、CGの出来がいいなあ。CGで一番コケてたのは、アルウェンが見る息子の幻影が森の中からミナスティリスの宮殿に移行するモーフかなぁ。クリーチャーは総じて史上最強。ゴラムは人智を越えてる。技術もすごいが、これをまとめ上げる意志力とシステムが不思議だ。

今回省略されて悲しいネタは:

  • 王の手は癒しの手(ネタというより、物語の大前提なんだが)
  • ハルバラド
  • ベレゴンド
  • エラダンとエルドヒア
  • 強固で高い塔の群を抜き……
  • 数々のかけ声
  • 九本指のフロドと滅びの指輪の物語

映像化されて嬉しかったネタは:

  • 土壇場まで料理道具を運ぶサム(捨てるシーンは無い)

映画館を出ると、影が出来るほど真っ白い満月が上っていた。
ボウモア飲んで寝る。