どくしょかんそうぶん

それなりにネタバレ。
言わなくても分かるとは思うけど、お気に入りをケナされたくない人は読まないが吉。

  • 第六大陸
    • 誰もが思う疑問「どうしてSF野郎は、天才少女が人智を超えた世界を夢見る姿に萌えるのだろう」 はさておき(ていうか私はあんまり萌えないし)、いかにもーな感じで、まあまあ面白うございました。月に行くためのステップを積み上げる話。小説と言うよりは、論文をNHK的に読み下したものに萌えをくっつけたという感じ。もう少し群像もの的に振った方が面白かろうとは思う。でも日本のSFはこれでいいのかも知れない。彼らが担うものは、海外SFとは少し違うのではないか。Fly me to the moon. 『面白いとかつまらないとかはいい。SFを読むんだ』 とか。
  • ポストガール
    • ロボ娘とか機械と人間の間とかいう意味合いでは周回遅れも甚だしいが、ラノベとしてはまぁまぁ。設定的には、横浜買い出し紀行を少しハードにしたぐらい。一巻が書店になかったので二巻から読んだが、それが良かった。二巻ラストの九話と十話が比較的面白かった。一巻から二巻途中までは、「バグがあるせいで人間ぽくなった」とか、まあシリアスに考えればアホな(ごめん)話が続いていたのが、九話は「弟」の機械人間と兄弟喧嘩をする話で、十話は祇園祭もどきのマッチョな祭りを見て、人間の暴力性に心底馴染めず限界を知る話。何か起きたかと思うような変貌ぶりで、ちょっと面白かった。まぐれかなぁ。本物かなぁ。九話は、「弟」の示す宝物に対する執着がいかにも機械っぽく、また子供っぽく、その暗喩が冷たくて良い。
  • 涼宮ハルヒの憂鬱
    • 大賞受賞だけあって、さすがにちょっと面白かった。95%ぐらいまで萌え迷彩がかけられている上、ラストの尻つぼみっぷりは稀に見るものがあるけれど、アホな話運びときっちり削ぎ落とした文章ですらすら読める。中盤までの展開は笑いと萌えと意外性が満載で楽しい。何も見えてないのに一番頑張ってるハルヒを始め、各キャラのアホっぷりがいい。しかし、終盤三分の一で唐突におかしくなる。300ページの本文中、204ページ目から、目に見えない転落が始まるのは良い。228ページ目で隠れ転落速度が失速してしまう。早っ。そこは突き落とすところだろう! お約束の説明モードも、三度目となると面白くなくなってくる。残念。でもバニーさん萌え。メイドさんの口絵が無くて残念でした(笑)>id:naisyosan

昔は「ブギーポップ」だの「キノ」だのがもてはやされて、正直おじさんには付いていけません、何一つ面白くありません、と思っていたのだが、秋山瑞人はもとより、他にも面白いのは結構いるみたいだ。たまに、ごく軽いテーマ性のような芳香を漂わす奴もある。みたいだ。
ラノベは今でも、基本的には、雰囲気とテキストをメインディッシュにするのが常道のようだ。だからネタが重要。テーマではなく。ネタを考える脳を持っている人は羨ましい。そういう脳が欲しい。
昔はソノラマとスニーカーを八割方読破したぐらいだが、今は全然読まないので、本当かどうかは分からないけれど。