BBC PROMS LAST NIGHT

偶然NHK-BSでやっていたのを観られた。ラッキー! クラシックにはまるで興味がないのだけど、この番組は大好き。
英国に、プロムス、というクラシックのコンサートツアーがある。詳しくは"Proms", "BBC Proms"とかで検索すると一発だ(BBCのオフィシャルページはこちらだけど、これだけで雰囲気を知るのは難しいかも)。今年で何と109回目を数える、庶民のための音楽の祭典だ。7,8,9月の3ヶ月に渡るそのツアーの最後が、いわゆる"Last Night"。Royal Albert Hallでのお祭り騒ぎである。
格式張った肩肘張った演奏会も、それはそれでいいものなのだろうけど、PROMSは180度違う。何と言っても、クラシックコンサートの癖に観客が鳴り物を持ち込んでピーピー鳴らしまくるのだ。そもそも服装規定がないので、みんなデタラメな格好で来る。仕事帰りもいる。デート中のガキもいる。留学生らしき東洋人もいる。仮装する奴もいる。そして奴らは踊るし、おどけるし、旗を振るし、合唱する。美人のソプラノが出るのに前振りのMCが続くと大ブーイングが起きる。
曲目も分かりやすいものばかりで、ラストには畳みかけるようにPROMS定番の「威風堂々」第一番、イギリスの海の歌による幻想曲、Rule Britania、イエルサレム、"God save the Queen"と続き、蛍の光で終わる。「威風堂々」なんて、エドワード7世の戴冠式がどうのなんて解説がいつも付くが、「戴冠式やその祝賀がこんなにノリノリのバカっぽい萌え曲でいいのかYO!」と、いつも内心思う。当然Promsでもノリノリで、合いの手のブーブーラッパは入るわ、合唱はするわ。
いい感じ。


観客の内の少なからぬ人間が、思い思いの小籏を持ち込んで振っているのが映る。圧倒的な数の英国旗を始め、イングランドスコットランドアイルランド、そしてばかでかい王室旗がひらめいている。クラシックなんてまるで分からない私でも、この番組を観ているときばかりは英国人(的)になりたいと思う。的、と言うのは、多分彼らが手を伸ばす先にあるのは、愛国心というより、一体感なのだろうと思うからだ。知った風に言うなら、祭りのエロス性と言うか……。原理的には2chの祭りと変わらない。ただ、積み重ねと洗練と技術と質が違う。そういうものがとても重要。羨ましい。


脈絡無くドイツ、フランス、EUの旗を振り回す奴がいて、そういうのも好き。去年は、どこかに日の丸も見えた気がしたのけど、今年はどうしたんだろう。